大木理香医師が立ち往生した。ファイバーアカデミアが主催するマスコミ向けのセミナーでの話である。

 大木医師は「食物繊維によるデトックスを毎日続けることが必要だ」と語ったあと、「食物繊維とビタミンCの摂取が肌にいい影響を及ぼす」と述べた。

 これに対して、「『日経ヘルス』の○○です」と名乗った女性(名前の部分は聞き取れなかった)が、「デトックスの話が出たけれど、デトックスが本当に効果を上げているならその根拠を数値でもって示すべきではないか」と疑義を呈したのだ。

 大木医師は釈明しようと奮闘したが、釈明できないことを悟ったのか、最終的に不備を認めた。

 このようなセミナーは往々にしてなれ合いになるものだが、『日経ヘルス』の女性は医学的な因果関係のない内容に真っ当な突っ込みを入れたのだ。お見事であった。

 一方、私の前に座っていた中年男性は、大きなルイヴィトンのかばんを持ち、おしゃれな服装をしてバッチリ決め、講演が終わるたびにいち早く惜しみない拍手をおくっていた。日経BP社の人(所属媒体は不明)だった。『日経ヘルス』の女性の爪のあかを煎じて飲んだほうがいい。

 もっとも、女性の指摘を聞いて「そう言われれば確かに」と気づいた私も間抜けではあるのだが。