『朝日新聞』で活躍した本多勝一さんが私の上司だった時の話である。
私が担当した仕事について、本多氏は社外の関係者に電話して事情を聞いていたことがある。同じ狭いフロアで一緒に仕事をしている私に聞けば済むものを、私に聞かず、社外の人にこっそり聞いているのだった。
これが取材ならよくあるやり方だ。当事者に取材する前に関係者から話を収集しておいて外堀を埋めておく。このような場合の「当事者」はたいてい悪いことをしているヤツである。
しかし、当時私と本多氏は部下と上司の関係だった。本来なら私に直接聞けば済むことをしなかった。上司が部下を疑う。悲しい光景であり、卑劣な光景であると言わざるを得ない。
部下を疑う本多氏のこの動きはたちまち社内に広まり、本多氏に対する落胆の声が上がった。
本多氏から突然の電話を受けた社外の人は私に「本多さんが電話をかけてきた」とすぐに教えてくれ、「西野さんに直接聞かないのはおかしいよねぇ」と笑い合った。
猜疑心の強さを部下に発揮するようでは上司失格である。
私が担当した仕事について、本多氏は社外の関係者に電話して事情を聞いていたことがある。同じ狭いフロアで一緒に仕事をしている私に聞けば済むものを、私に聞かず、社外の人にこっそり聞いているのだった。
これが取材ならよくあるやり方だ。当事者に取材する前に関係者から話を収集しておいて外堀を埋めておく。このような場合の「当事者」はたいてい悪いことをしているヤツである。
しかし、当時私と本多氏は部下と上司の関係だった。本来なら私に直接聞けば済むことをしなかった。上司が部下を疑う。悲しい光景であり、卑劣な光景であると言わざるを得ない。
部下を疑う本多氏のこの動きはたちまち社内に広まり、本多氏に対する落胆の声が上がった。
本多氏から突然の電話を受けた社外の人は私に「本多さんが電話をかけてきた」とすぐに教えてくれ、「西野さんに直接聞かないのはおかしいよねぇ」と笑い合った。
猜疑心の強さを部下に発揮するようでは上司失格である。