作家の井上ひさしさんが亡くなった。全国紙すべてに目を通したが、井上さんが『週刊金曜日』編集委員だったことに触れた記事は皆無だった。

 当たり前か。そもそも『週刊金曜日』にほとんど登場しないまま降板したのだから。

 井上さんの友人の大江健三郎さんを『週刊金曜日』編集委員の本多勝一さんが批判していたことが降板理由の1つと聞いた記憶がある。

 何だか冴えない話である。

 最近は保守政党が分裂しまくっているけれど、少し前は分裂といえば左側の人たちの十八番だった。見解が異なるたびに分裂していくからどんどん小さくなっていく。ゴリゴリの原理主義者のせいで、器も度量も影響力も小さくなっていく。

 平和運動のようなものでさえまとまらないのだ。小異を捨てることが沽券に関わるとでも思っているのかもしれない。

 命を張ってでも守りたいもの以外、私は小異はあっさり捨てることにしている。枝葉末節の袋小路に迷い込まないために、臨機応変かつ柔軟に対応するだけだ。「命を張ってでも守りたいもの」はそれほど多くない。