今日は川村哲夫さんの命日である。私の『週刊金曜日』時代にお世話になったデスクだ。

 雑誌創刊間もないころにデスクとして着任され、私は大変かわいがっていただいた。元朝日新聞外報部記者として海外赴任歴が長い国際派だった。そんな川村デスクの指導の下、私は海外ネタの原稿を連発した。

 夜遅く会社を出たあとも「ニシノくん、いる?」と編集部に電話をかけてきて、「あのタイトルだけどね」などと仕事の話を振ってこられることが多く、周囲の部員から「川村さんに本当にかわいがられているね」と羨ましがられたものだ。

 忙しかったけれど楽しかった。いろいろな意味で社内が一番安定していた時期でもあった。

 ひょうひょうとしていて、淡々としていて、でも人のこころをきちんとご覧になっていて、今も私の脳には川村さんに呼ばれた「ニシノくん」の声とにこやかなお顔が残っている。