私の本を数冊出版してくれた出版社では、社長も編集者なので企画会議に企画を出す。この企画会議では社長も新人編集者も平等に厳しい批評にさらされる。リベラルとはこういう状態を指す。

 私が所属した週刊金曜日という雑誌の編集部では、人権だの権利だのというお題目を並べていたけれど、社長の企画を批評した私は社長に怒られた(笑い)。

 その社長の名は本多勝一さんという。朝日新聞社のスター記者として知られたことがあり、私も尊敬していた時期がある。

 その本多社長が出した企画を「またそんな企画を」とか何とか率直に述べたところ、顔を引きつらせながら「私の企画をそんなふうに言われたのは初めてだ」と言うのである。

 本当の友達がいないんだろうなぁ。お気の毒な人なのかもしれない。