大学受験における現代文読解と英文読解は、出題者が求めるレベルが異なる。したがって、勉強法が異なる。

 英文読解は一般的に英文を形(構文)に則って読めるかどうか試される。伊藤和夫師の参考書で勉強すれば、英文を形から読む方法を明確に学べる。大学受験の英文読解で問われる形には限度があるので、形を参考書で押さえればほかの英文でも応用が利くから読める。

 一方で現代文読解は違う。日本人なら日本語を読めないことはないだろう。一定の形を押さえておけば、論説文の場合は構造を把握できる。駿台の藤田修一師が考案した読解法は、現代文の構造を把握する方法に優れている。

 しかし、現代文の設問が意外に難しいのは、形を問う設問だけではないからだ。ある流れにおける言葉のセンスを問われるので、形だけでは通用しないことがある。例えばこんな場合だ。

 太郎君が花子ちゃんにメールを送った。「太郎君が私に好意を寄せている」と花子ちゃんが思うメールはどれだろう。

(1)「今度サークルのみんなと一緒に夜のドライブしよう。ロマンチックな場所を僕は知っているから」

(2)「今度僕と一緒に丸善の喫茶室で早矢仕カレーを食べよう」

(3)「今度ディズニーランドに行こうよ。ディズニーランドはデートの定番だからね。せっかくだからサークルの山田さんも誘おうかな」

(1)には「ロマンチック」、(3)には「デートの定番」と書いてある。形の上では「好意」に見えなくもない。しかし、一般的には好意を持った相手と2人きりになりたいものだから、「サークルのみんなと一緒」の(1)と「サークルの山田さんも誘おうかな」の(3)は「好意を寄せている」とまでは断言できない。そこで最もケチのつかない(2)が正解となる。

 このように、現代文の出題は形のみならず、ある流れにおける言葉の使い方をどう読み取るかまで問われる。繊細に注意深く読む能力(これをセンスと言う)が問われるのだ。

 というわけで、形だけ問われる英文読解より、形もセンスも問われる現代文読解のほうが難儀なのである。

 現代文の形から流れを押さえ、流れに沿って出てくる言葉を繊細に注意深く読むためには、いい参考書で訓練するしかない。英文読解より奥が深いのだから、手を抜いてはいけない。