遅ればせながら新藤兼人監督の出世作『裸の島』を見た。わずか90分ほどの作品なのにイイタイコトが端的に伝わってくる。人間の地味な勤労を描いたところがモスクワで評価されたのは当然だろう。

 全編ほぼ無音で余計な説明が全くない。『3丁目の夕日』の死角のない雄弁さと正反対だ。台詞も説明もないので、想像の翼を広げていろいろな解釈をしてしまう。

 言葉で勝負するなら映画は本に勝てない。映像で勝負するなら映画は本に勝てるはずだと新藤監督は考えたのかもしれない。事実勝った。

 言葉派(単なるおしゃべり)の私は映像の威力を初めて知った。