いい質問をすればいい答えが返ってくる。いい答えが返ってこないのは取材者の質問が駄目だからだ。反省を込めてこう思う。

 14日付『毎日新聞』夕刊(東京本社版)の大竹しのぶさんインタビュー記事は、的を射た質問で大竹さんがこころを開いた様子が伝わってくる。こんな取材を私はしたことがない。何も考えていない私にはできないかもしれない。藤原章生記者の記事を毎日新聞のサイトに載せていないから限られた人しか読めないのがあまりにももったいない。そこで、私が一部書き抜く。

書き抜きその1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 たった一つの場面をかいま見ただけでも、この人が演じると人を泣かすことがある。演技だけでなく、あなたの存在が人の心を動かすのでは?
 会うなりそうたずねると、一瞬はっとした顔をし、少し緊張気味に言葉を選んだ。

書き抜きその2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「アッシジに行った時からかな、自分を見つめることができるようになったのは」。思わず「聖フランチェスコの寺院、行かれました?」と問うと、ぱっと顔に灯がともった。「もう、すごいですね、あそこ、もう、大好きで(略)」

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 このあと大竹さんは祖父の話を始める。一生懸命に語ったに違いない。その雰囲気が紙面から立ちのぼっているのだ。下世話な表現だが、大竹さんのこころの鉱脈を藤原さんは掘り当てた。

書き抜きその3・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「フランチェスコ、知ってくれていてうれしかった」。別れ際、カトリックのシスターがそうするように、両手を静かに差し出した。

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 大竹さんのこころを引っ張り出す質問だったのだ。唸るしかない。