真珠湾攻撃の日である。この日が来るたびに、21年前に取材させてもらったハワイ在住日系人のみなさんの顔が浮かぶ。戦争に突然巻き込まれ、異国の地でどんな思いを抱いて生き抜いてきたか、その一端をうかがい、『毎日新聞』福島版に13回連載した。貴重なオーラルヒストリーを忘れないよう、連載をサイト真珠湾攻撃が始まった ハワイに住む福島県出身者の戦中・戦後にまとめた。

 取材させてもらった人の大半が亡くなっていると思う。しかし、私が聞かせてもらった話は今も鮮やかに覚えている。私には後世にバトンタッチする義務がある。

 しかし、戦争経験の伝承は難しい。活字にまとめるか、現地にある記念館を訪ねるか、くらいだろうと思っていた。

 ところがもう1つあった。物に語らせる方法である。

 東京芸術大美術館で「尊厳の芸術展」が9日まで開催されている。物理の専門家であるにもかかわらず、自然科学から食べ物まで恐ろしく広い分野に詳しい青木先生に教えてもらったので、訪ねてきた。

 日米開戦で収容所送りされた日系人が収容所で創造した「物」が展示されている。いすやそろばんなどの生活必需品から木の彫り物や貝殻を使ったブローチなどの装飾品、仏壇や日本人形などの日本文化関連まで、実物を見ることができる。

 日本はいま意気消沈している。だからだろうか、苦難の道を歩んだ先輩日本人たちが物を通して「頑張れ。誇りを持て。日本人はすごいんだぞ」と励ましてくれるし、「生きるとはこういうことなのだ」と物が静かに語りかけてくれる。