薫風スポーツの顔である美濃さんにバドミントンの練習法を聞くと、今まで断片的に頭に入っていた情報がすべてつながった。

 美濃さんは言う。

「バドミントン、シャトルが平均して何回行き来するか知ってます? たったの5回ですよ。ということは2回で終わることもあるんです」

「私が教えた子がある大会で優勝して、インタビューにこう言っていました。『相手が勝手にシャトルを落としてくれた。私はシャトルを打ち返しただけ』」

「勝つためにはシャトルを打つ練習だけでいいんです。何で運動場を走らせたり、ダッシュさせたり、バドミントンと無関係な動きをさせるんですか」

「体幹トレーニングは宗教みたいなもので、あれをやってもバドミントンは強くなりません。人の何倍もシャトルを打って頂点に立ってもうほかに練習方法がないというトップ選手がやるならまだしも、普通の人はシャトルを打つ回数と時間が少なすぎます」

「トップ選手のとおりにやったら体を壊しかねません」

「イースタンでもウエスタンでもいいんです。自分に合うスタイルでやるのが一番。型にはめてはいけない」

 このような指摘はランニングにも勉強にも通じる。例えば、元早稲田の駅伝選手・金哲彦さんは前傾姿勢を勧めているが、私はそんな姿勢で長距離を走れない。前傾姿勢で走るなら短距離だろうと思ったが、短距離の選手はたいてい胸を反らせて力走している。勉強面で言えば、英語の実力をつけたい人が数学の勉強をしても意味がない。東大に楽々合格した人の数学の勉強法が、算数落ちこぼれの私に役立つわけがない。

 世の中に蔓延する間違いだらけの練習法を鵜呑みにしてそのまま取り入れるのは蛮行に近いのである。美濃さんにはバドミントンの伝道師になってもらおう。