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 杉原千畝の「命のビザ」は有名だが、日本に来たユダヤ難民を支えた日本人がいたことを私は本書を読むまで知らなかった。この日本人の足跡を実直に追いかけ、大勢のユダヤ難民を体を張って守ったことを明らかにした骨太のノンフィクションである。

 書き手が何に関心を示すか。ここに書き手の生き方や人生観が垣間見えると言っても大げさではないだろう。ユダヤ難民の命を救った小辻節三さんに深い関心と敬意を示した筆者の熱さや誠実さが伝わってくるからだろうか、2013年4月に第1刷が出て2015年8月には8刷だ。

 英語を柔軟に操ることができる筆者ならではの取材ぶりを見ると、英語ができると取材範囲が深まり広がることがよく分かる。へっぽこ英語で足踏みしている私は羨ましい。

 筆者の父親は日本を代表する役者の1人である。ただただお客様を喜ばせるため、芸事に賭ける執念は有名だ。あの父親にしてこの息子あり。超一流の世界はこうして受け継がれてゆく。