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 東京駅前の丸善でレジの手前に置いてあるものだからいやでも目につく。あの『怪人二十面相』の表紙そのままのノートである。思わず手にとってしまった。買うしかない。

 ポプラ社の江戸川乱歩全集は全46巻あった。最初に読んだのは小学3年の時、徳島駅前の小山助学館で『宇宙怪人』を父に買ってもらったのが始まりだ。面白すぎてあとは図書館で借りて一気に読んだ。私の本好きが定着するきっかけを与えてくれたのが江戸川乱歩シリーズだった。

 懐かしさあふれる商品が最近目につく。そういう商品に目が向くのはそれなりの年数を生きてきた中高年以上だろう。私が中高年になっている証拠か。

 そういえば私が小学3〜4年のころ、復刻版『少年倶楽部』シリーズを祖父が買ってくれた。「『のらくろ』を読んで育った」と懐かしがる祖父のプレゼントだったのだが、「のらくろ」の連載は1931(昭和6)年スタートだ。時代が違いすぎて読むのが少々ツラかったかも(苦笑い)。

 今の10代20代で「のらくろ」を知る人はめったにいないのではないか。江戸川乱歩シリーズはあとどれくらいの期間にわたって私のような大ファンを獲得し続けるだろうか。