乗り越えることができない個体差があるのではないか。こんなことを言うと身も蓋もない。しかし、健康にせよ運動能力にせよ頭のよしあしにせよ必要睡眠時間にせよ、乗り越えることができない個体差の壁がある。

 例えば五木寛之さんは健康診断を受けたことがない。80代の今も健康そうだ。五木さんは朝6時に寝て13時に起きる。健康によくないと最近言われている「座りっぱなし」を長年続けてきたようでもある。それなのに、がんにも心疾患にも脳疾患にもかからずにこんにちまで生きてきた。

 一方で、30代で心疾患などで突然亡くなる人や20代でがんになって亡くなる人もいる。

 何でこうなるの? ここには厳然とした個体差があるとしか思えない。

 それなら栄養に気をつけた食事を取ったり適度な運動をしたり睡眠時間をきちんと確保したりすることが健康増進を後押しするのだろうか。同一人物で比較実験できれば分かりやすいのだが。

 少なくとも五木寛之さんの健康法が普遍性を持つとは思えない。

 では私が健康オタ君を降りるかというと、降りない。「乗り越えられない個体差」があるのは間違いないけれど、一方で「乗り越えられる個体差」もあると信じているからだ。信じる者は救われる、と思わないとあしたから甘いものを食べまくる意思の弱さが私にはあるのであーる。