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 いろいろな意味で面白い記事である。『朝日新聞』の別刷り『グローブ』3月6日号の「入試とエリート」という特集を担当した記者はこう書いた。

<私自身は灘中、灘高、東大法学部という「点数主義エリート」の典型的コースの一つを歩んできた。だが、会社ではずっと平社員のままで、今や、GLOBE編集部の上司のほとんどは後輩だ。点数主義はもう時代遅れなのか。エリートは「人柄の良さ」こそが重視されるのか>

 まず指摘しておかなければならないのは、「点数主義エリート」は自分より点数が低い人が大勢いるところでは自分を低く見せる傾向がある。処世術なのか摩擦を避けるためなのか分からないが、そういう傾向が強い。したがって、上の文章のように本気で嘆いているかどうか疑わしい(笑い)。

 次に指摘しておきたいのは、愁嘆しようがダメ人間を装おうが、北海道から沖縄までの人の大半が知っている朝日新聞社という企業に難しい試験を突破してこの人は入社していることだ。中小企業にしか入れない人が見たら「何ぜいたく言ってんだよ」というツッコミが来そうである。だからこそ自分を卑下してみせる必要があったのだが、効奏してない(笑い)。

 3つめは、朝日新聞社でも出世に必要なのは「社内遊泳術」であって「ペーパーテストの点数」ではないということだ。かつて毎日新聞社の社長が社内向けの紙媒体で「自分が社長になったのは社内での水泳がうまかったから」という趣旨の発言をしていた。率直な人なので、本当のことなのだろう。冒頭の記者はそれくらいのことはとっくに知っていて、しかしまさかそんな赤裸々なことを自社の媒体に書くわけにはいかないから、自分は出世してませんと書いてお茶を濁すしかなかった(笑い)。

 以上のツッコミはさておき、ハーバード大に進学した日本人の取材記事は興味深い。本当か嘘か分からないが私が大学生のころ「外国の大学を卒業したら日本で就職しにくい」と聞いたことがあるだけに、海外の大学に進む若者の記事を読むと隔世の感がある。

 もし私が中学生辺りから人生をやり直せるなら、と書いたけれど、中学生辺りに戻れるわけがないのである。