コラムを書く人には役に立つ内容があるけれど、この本より『名文どろぼう』や『名セリフどろぼう』がいいかもしれない――とワタシごときがエラソーに書いて申し訳ない。筆者は『読売新聞』論説委員で1面コラム「編集手帳」を長年書き続けている竹内政明さんである。

 どんな文章術かと興味を抱いて読んでみた。本書の一番目に出てきた<【第一戒】「ダ」文を用いるなかれ>に期待しすぎたのかもしれない。竹内さんは文末を「……だ」で締めないという。その論理を知りたかったのだが、<テンポの良さが曲者>とか音読した際に<調べを裁ち切る>とか、永井荷風が『断腸亭日乗』で広告文のダ文を嫌っているとか、うーん、私には響かなかった。

 耳で聞いて分かる言葉を使うことを意識しているようだが、「パソコンを立ち上げる」ではなく「パソコンを起動させる」と書いているという辺りに私は混乱してしまう。「きどう」という音を聞いた過半数の人の頭に「起動」が浮かぶだろうか。私は「軌道」が浮かぶ。耳で聞いて分かる言葉を使うのなら「パソコンの電源を入れる」が分かりやすいと思うのだがどうだろう。

 竹内さんは恵迪寮の出身だそうで、それに対しては大いに憧れるのだけれど、本書は筆者個人の感覚に依る内容が多いので、北海道つながりで本多勝一さんの『日本語の作文技術』はやっぱり名著だと書いて、この駄文を締めるのダ。