野口悠紀雄先生は<文章を書く作業で最も難しいのは、文章の最小単位を適切に結合し、全体として説得力のある論述に仕上げてゆくことです>と『話すだけで書ける究極の文章法』(講談社)で指摘している。私が悶絶するのもここである。執筆業者が早死にする理由はここにありそうだ。

 流れがよくないと書き手が思った文章は、読み手にはチンプンカンプンだろう。そこで、一文一文の並べる順番や段落の並べる順番をあーでもないこーでもないと動かしてみる。あるいは論理の不足を補ってみる。文章のパズルをしているような感じとでも言おうか。

 これがピタリとはまらないと文章の流れが悪い。書き手は気持ちが悪い。読み手はもっと気持ちが悪い。

 駿台予備学校の藤田修一師は「前の文の論理を次の文が受けて、それをさらに次の文が受けて流れていく。最後にたどり着くのが筆者のイイタイコト」と言っていた。文章の流れを語っていたのである。

 適切な位置に一文一文が整然と並ぶと書き手は「できた!」と分かる。いや、逆だな。「できた!」と思った文章は結果として一文一文が適切な位置に並んでいるのである。