コンビニの数より歯科医院の数が多いと言われ、悪戦苦闘が伝わられる歯科業界で、「年内は予約を受けることができません」とお客さんを断っている歯科医院がある。山形・酒田市から東京・汐留に進出した「日吉歯科診療所汐留」だ。

 酒田市といえば土門拳の古里だが、ここでは触れない。

 あの熊谷崇さんのご子息が所長を務める。親の七光りで押すな押すなの大盛況なのである。予防歯科にお金をかけることができる人は山形より東京のほうが圧倒的に多い。市場を比べると日吉歯科の東京進出は正しい。

 酒田市の人口の10パーセントが患者さんだと言われる日吉歯科本店だが、避ける市民がいる。その理由を聞いてみたところ、「熊谷先生は技術があるけれど、その下で働く先生の中にはそうではない人がいるから」だって。確かに歯医者には技術者の要素が求められ、親の技術が優れているから子供の技術も優れているとは限らない。千葉県内には親から息子に代替わりした途端に患者さんが激減して経営不振に陥った歯科医院がある。

 閑話休題。話を汐留支店に戻す。

 私は熊谷先生の予防歯科に興味を持っているが、酒田市まで通院するわけにはいかない。酒田市民いいなぁと思っていたところに汐留支店開業のニュースを聞いた。

 つい先日、歯の詰め物が取れたのでこれ幸いと電話で予約しようとしたら冒頭のようなことを言われた。待ってられない。結局行きつけの歯科医院を予約した。美しい女性の歯医者が私の担当なので、まぁいいか。