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 読み応えがあった。『週刊東洋経済』9月24日号である。

「納得のいく死に方  医者との付き合い方」という特集で2つ「ほほう」と考えた。

 1つは「長生き志向は間違っている!」。後期高齢者の検診に公費を使うなという問題提起だ。もう1つは「湯水のごときぜいたくはいつまで可能なのか」。救命救急センターを利用できるのは70歳までにせよという問題提起だ。どちらも現職の医者が実名と写真入りで述べている。

 前者について。私の場合子育ては終わっているのでもはや長生きする必要はない。ただ、いま私が死んだら大勢の女性が嘆き悲しむので死を先延ばしにしているだけ。よく考えたら健康オタ君である必要すらないのだった。ありゃりゃ。この“気づき”は私にとって青天の霹靂で、では一体何のために生きているのか。根底が揺らぐのである。もっと本を読みたいけれど、死んだら全部忘れるし(忘れるのか?)。

 後者は救急救命医の切実な問題だった。残り時間のない高齢者より未来がある子供や働き盛りの世代、若い人の治療を優先したいということである。よくぞここまで言うななぁ。救急救命の現場ではここまで言わざるを得ないくらい高齢者が若い世代の治療の邪魔をしているということか。

 政治家の判断が求められるが、投票に行くのはもっぱら高齢者だから、政治家がこの問題に手をつけることができるわけがない。現状は変わるまい。

 未来がある若い世代を優先して治療することについて私は異議なし。