東京・早稲田の某グッドモーニングカフェは私のお気に入りのつもりだった。しかし、店のスタッフが客を全く見ないので、コーヒーのお代わりをしようと思ったら自分でコーヒーカップを持ってカウンターまで行く羽目になることがある。いや、それくらいどうってことないし、わざわざ店員さんを呼ぶほどではないのでどうでもいい。私が疲れるのは客に対する姿勢の鈍さに対してである。客への接遇が自分の仕事の1つだという自覚のなさに対してである。わずか3人の客に目を配ることができない阿呆さ加減に対してである。

 いい飲食店は客を本当によく見ている。美女2人と訪ねたフレンチの鉄人坂井シェフの「ラ・ロシェル」はおびただしい人数のスタッフが客の顔を見ながら動いていた。アイキャッチを見逃すまいという姿勢に「さすが」と感心した記憶がある。

 広島市宝町の名喫茶店「てらにし珈琲」も、マスターもスタッフも客の動きを実によく見ている。私が食べる順番を見たのだろう、マスターに「コーヒーをお出しするのを少し遅らせましょうか」と言われたときにはたまげた。

「客に接する」から接客業なのである。それができないのなら自動販売機と同じだぞ。