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 日活ロマンポルノを私は誤解していたのかもしれない。確か大学時代、友人たちと『ピンクのカーテン』を見た。それが最初で最後だった。そもそもあれは「見るもの」ではなく「するもの」である。この信念(というほど大げさなものではないが)は変わらない。しかし、ポルノ映画の制作者の熱をのちに垣間見るにつけ、興味が高まった。

 というわけで、中田秀夫監督の『ホワイトリリー』を見た。レズビアンに男が絡む作品としては谷崎潤一郎の『卍』が大先輩だろう。この映画(1983年、樋口可南子と高瀬春奈のバージョン)の冒頭で私は一気にずっこけた。駄作である。表現作品は冒頭が鍵を握る。『ホワイトリリー』は冒頭を乗り切り、観客の期待をつないだ。

 飛鳥凜の成長を縦軸に、日活ロマンポルノのお約束を守りながら、セリフに伏線を張り、音楽を工夫し、飽きさせない80分作品である。愛の恐ろしさは中田秀夫監督ならではの表現だろう。

 随所で山口香厠いスーッと流す涙(カメラは全くクローズアップしない)の意味を解釈することで彼女が抱える絶望の深淵に嘆息できたのは、50年以上生きてきた私もそれなりにいろいろな絶望を見てきたせいかもしれない。絶望は人をつなぐね。