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 同性愛は少なくとも30年前はタブーだった。米国の映画だったと思うのだが、ゲイであることを告白した息子を父親が撃ち殺す場面があった。その父親もまたゲイだったという展開で、同性愛の根深さを知った。

 それがずいぶん変わったようだ。いろんな人がいて、それでいいんだ、と。

 こういうことをしみじみ思うのは、親しい女性から同性愛者であることを告白されたことがあるからだ。どこか遠くの、いや全く真面目に考えたことがなかった同性愛がいきなり私の目の前に落ちてきたのである。親しかっただけにかなり衝撃を受けた。

 夜の東京を一緒に歩きながら、「自分が同性愛者であることは女性の友達には言えない。きっと気持ち悪く思うだろうから」と寂しそうに笑った彼女に私は何と言えばいいか分からなかった。

 そういう志向に偏見を持たない程度にはリベラルだと思っているけれど、彼女のもがき苦しむ様子を垣間見て、かける言葉がなかった。自分のためにも泥池で苦しむ彼女を引っ張り上げたかったけれど、男の私は彼女を引っ張り上げることができなかった。彼女を引っ張り上げることができるのは女性なのだった。

 性的少数者にとって少しは住みやすい時代になっているとしたら私はほっとする。