わが徳島市立高校の先輩・柴門ふみさんの『東京ラブストーリー 25年後』(小学館)である。

 抜群のストーリーテラーだけあって、物語展開に今回も魅了された。「巡り合わせ」をキーワードに、中年まっただ中になった登場人物を描いた。私が感情移入できる登場人物は1人もいないけれど、同じ時代に呼吸して、同じように年齢を重ねた同世代への共感は身に染みて分かる。

 高校時代に付き合ってフラれた経験があってよかったなぁとしみじみ思うわけである。この経験があるから、登場人物への共感につながるんだから。私が交際相手を振っていたら今の共感につながらない。フラれたから強烈な思い出になって、セイシュンのキラメキの尊さをまぶしく振り返ることができるわけで、そこに意味がある。

 柴門ふみさんは基本的に良妻賢母なのだろう、物語の通奏低音に暗さがなく、人生賛歌が流れる中で物語の幕を閉じた。ラストは睫擇里峪辧悗修虜戮道』のラストを彷彿させる。柴門さんは『その細き道』を意識したのではないか。

 柴門さんが70代半ばになったときに登場人物の50年後を描いてほしいなぁ。ぜひ読みたい。私が生きていればだけど。