
自炊するようになって気づいた。味噌汁に具をたくさん入れると、それだけで十分なおかずになる。以来「具だくさん味噌汁」と命名して、時々作る。
似たようなものを土井善晴さんが提唱しているというので本を読んでみた。レシピが載っていればいいなぁと期待したのである。
ところがレシピなど載っていない。適当に作ればいいとさえ言う。そのかわり料理に関する含蓄あるうんちくを蕩々と述べている。料理についてさまざまな角度からうんちくを披露できるのだからさすが土井勝さんの血を引く。
土井勝さんは一汁三菜を提唱し、夫婦共働きでみんなが多忙な現代に合わせて善晴さんは一汁一菜を提唱して、家庭料理は時間をかけて作らなければならないという呪縛から特に女性たちを解き放ちつつある。時代に応じて主張を変えるところが土井さんちのお家芸なのだろう。檀一雄さんや宮脇檀さんのように手間暇をたっぷりかける料理とは一線を画する。
私は健康オタ君なので、栄養が十分にあって健康に良い料理なら一汁一菜でも一汁一菜でも何でもOKだ。でも、土井善晴さんと違って、私はダシは求める。簡単にできるダシのもとがあるのだから使わないという横着はない。
などと愚かなワシが偉そうなコトを言うのも何なので、「具だくさん味噌汁」を「愚だくさん味噌汁」と呼称を変える。食べれば食べるほど愚かになる味噌汁。こんな名称の料理には食欲がわかないだろうから自然とダイエットできる塩梅である。商標登録するかな。してどうする?