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 アラーキーの写真を初めて見たのは『サンデー毎日』での連載だったと記憶する。雑誌のグラビアでかわいい女の子たちのみずみずしい肉体を見慣れた目には女の毒々しくて無様な肉体をわざわざ見たいとは思えなかった。

 いつだったか、先輩に連れられて行った銀座アスターでアラーキーを見かけた。その先輩の「アラーキーじゃねぇか」という野太い無遠慮な声に周囲をキョロキョロ見回していた。関わり(?)はこの程度である。

 興味を持ったのはチラシでも使われている写真だ。小舟で丸くなって寝ている陽子さんを撮った1枚、これは惹かれる。というわけで、東京都写真美術館で開催中の写真展を見た。

 自分が立つ場を確保するためには従来にない作風なり何なりを出す必要があるのは写真も同じだ。アラーキーはきれいなものから目を背けたのだと私は理解した。ざらざらした被写体、じっくり見たくない被写体、好感を抱くことが出来ない被写体、従来無視されてきた被写体、そういう被写体にアラーキーはレンズを向けたのだと受け止めた。私にはよく分からない。

 しかし配偶者陽子さんを撮るのは分かる。その配偶者は媚びたり阿たりすることなく被写体としてレンズに向き、なるほどこういう撮り方撮られ方があるのだなと合点がいった。