たまたま小学校受験の願書を何通か読む機会があり、そのほとんどに何の魅力のかけらもなく、ただ自分の子供がどれほど賢いかを競うように書いている。阿呆どもめ。

 文章は夜の夜中に書くといい。愛情を表現する願書や恋文は夜書くに限る。

 夜書いた恋文はすぐに出すな。昼間読み返すと恥ずかしくて汗が出るから書き直せ、という話を昔聞いたものだが、50代半ばになって、いろいろな願書をそこそこ読んできて、「それは違うな」と思い至った。

 夜書くと感情がほとばしるのでよくないと言われるけれど、そのほうがいいのである。相手への思いや情熱を死に物狂いで書くほうが相手に伝わりやすい。昼間の冷静な頭で書いた「1+1は2」みたいな文章より、あなたを得るためなら(あるいは入学できるなら)どうなってもいいという情念を込めた「1+1は1億」みたいな文章のほうが確実に伝わる。

 『スタンフォード式最高の睡眠』によると、23時ごろには寝るほうが脳みそにはいいそういで、それはそうなのだろうが、願書や恋文のような自分の思いの丈をぶつける文章を書くときは23時就寝の枷を除くほうがいい。

「しかし何だな。お前のブログがつまらんのは夜の夜中に書いているからだな」と言いながら、抜いた鼻毛を口から吐いた息でその辺に吹き飛ばす人には私は負けを認めよう。