本多勝一さんに影響を受けたと角幡唯介さんが今日付の『日本経済新聞』朝刊読書欄「半歩遅れの読書術」で書いている。影響を受けたという点では私も同じだ。

 角幡さんは本多さんの冒険論を再録したアンソロジーの解説を書き、それを読んだ本多さんから「あなたは私のことを私よりも分かっている」という手紙が届いたという。美しい話である。

 私は本多さんと仕事を一緒にして気づいたことがある。俳優が演技で観客を魅了するように、書き手は手首から先で読者を魅了する。つまり、文章表現で演技するのである。小説家ならそれもアリだと思うが、事実を追求する記者でもそうなのだった。「なんじゃらほい、あほいほいほい。手首から先でかっこつけとるだけやんけ」と言う私に本多さんは死んでも「あなたは私のことを私よりも分かっている」とは言うまいなぁ。

 尊敬してくれる人がいてよかったね本多さん。煮ても焼いても食えなかった和多田さんも晩年ファンがいたようだから、人生捨てたものではない。