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 恋愛のカミサマであるワシのところにたくさんの相談が寄せられる。ある女が嘆き節と恨み節をワシにぶつけてきた。

「彼と一緒に映画に行きたい。散歩したい。ご飯を食べたい」

「彼は仕事ができる職場の女性にベッタリ。その女性は私と同世代なのに私は無視される」

「彼の奥さんは怖い人なのに週末はいつも一緒に出掛けてる」

「私だけをみてほしい」

「彼は職場の女性みんなに優しい。私だけに優しくしてほしい」

「寂しい」

 ワシは次第に腹が立ってきた。

「おまえね、さっきから聞いとったら自分の都合しか考えてないやんけ。彼をこうしてあげたいとか彼にあんなことをしてあげたいとか、彼最優先の考え方が全くない。自分の都合ばっかりや。そんな女にええ男が寄っていくわけがない。ええ男ほどおまえのような女は避ける。ええ男にはええ女がなんぼでも寄っていくんじゃ。ええ男は女に困ってないんじゃ。意味分かるか?」

 9月15日付『朝日新聞』Be版「悩みのるつぼ」で美輪明宏さんがワシと同じような助言をしておったので、記事を女に送ってやった。

 女から返事はない。

 50前後からかな、ワシは本気で他人に注意をするようになった。それまで遠慮して何も言わなかったのだが、考えを変えて、きちんと関わる人には率直に苦言やら注意やらを伝えるようになった。袖すり合うも多生の縁という思いがあるんじゃな。

 それで嫌われたらワシの不徳の致すところでござりまする。しゃーないな。