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 深層と書いたが深い話ではない。阪神大震災のとき首都高の柱が崩れ、そこに埋め込まれていたタバコの箱だか空き缶だかのゴミが明らかになった。そういうことをした人の心情を想像して私は寒気を覚えた記憶がある。

 大きな建造物だしコンクリートで密閉されるし壊れることはないだろうから発覚しない、発覚しても誰の仕業か分からない。そういうふうに判断してゴミを首都高の柱に詰め込んだのだろう。バレるわけがないと考えた薄ら寒い人心は矜持の問題か道徳の問題か。

 最近も神戸製鋼や日立化成、スズキ、フジクラ、日産などが不名誉な“犯罪行為”を報じられている。免震・制震装置の不正も似たようなものではないか。大地震で壊れても「想定以上の負荷がかかった」で言い逃れることができると見くびったのだと私は見る。もう1つの可能性として、これだけ不良品が出ていたということは免震や制震は机上の技術でしかないのではないか、という疑問が残る。

 このような問題は例えばカメラ業界では起きない。ニコンのZ7に対して宗教戦争かと呆れるくらいソニー派やキヤノン派も入り乱れて性能批判が飛び交っている。消費者に近い商品は目の肥えた消費者がいるから品質管理が厳重だ。

 10月27日付『毎日新聞』夕刊(東京本社版14新版)社会面は「品質より納期」と見出しを掲げた。その通りではあるのだろうが、会社は会社で現場の品質管理の重要性を知らず、現場は現場でバレるわけがないという見くびりがあったと私は見る。一般消費者の目に触れる商品やサービスではないから、ニコンやソニーのような緊張感や厳しさを持っていなかったと私は見る。

 現場で手抜きされたらおしまいだ。最後の関門として機能するためにはどうすればいいのか。私に名案があるわけがない。ただ、矜持の問題だとは思う。