透明人間になることができたらなぁと思ったことがある一人である。だいたいそういう場合は透明人間になって女湯をのぞいてみたいとか好きな女の子の部屋にしのびこんでみたいとか、ろくなことを考えていないというか人間らしいことを目論んでいたというか。

 このような阿呆なことを想像しながら当時抱いたのは「着ている服は透明になるのか」や「くしゃみをしたら聞こえるのか」、「血が出たら見えるのか」などのギモンである。『透明人間』を読むと解決する。よく練られた小説だ。

 さて。途中休むことなく一気に読んだ。それくらい面白い。しかし話の展開は哀しい。その哀しさに秋葉原事件を起こした加藤智大死刑囚と重なるところがある。今だから読み込むことができるところはあるのだが、もっと早く読んでおくべきだった。

 本書を勧めてくれた日垣親分に謝意を記す。題名は知っている有名な本なのに未だに読んでいないものがまだまだある。どこまで読むことができるか。命との競争が始まった。