自戒を込めて揚げ足取りをしておく。

 日経BP社の本を紹介するメルマガ「日経BPブックニュース」(1月30日配信)の見出しは「きちんとした文章を書くための3つの基本」だった。興味が湧いてどれどれと本文を見たところ、紹介されていたのは『きちんとした文書とメール 完全速習ガイド』だった(笑い)。

「文章」と「文書」は重なるところはあるけれど同一のものではない。単なる写し間違いか打ち間違いなのだが、そもそもメルマガの見出しにした「きちんとした文章」とは何なのか。

 ここから話が少し飛ぶ。

「言葉が大事だ」や「日本は言霊の国だ」などと言われているが、言葉は表層に浮かび上がってきた意思疎通手段の1つでしかない。その根っこにある意思疎通基本OS(感受性や判断力、語彙、思考、論理的に考える能力、伝える相手との関係などなどの多さ少なさ浅さ深さ右寄り左寄りなどなどを私はまとめてざっくりこう呼ぶ)の影響を受ける。

 この意思疎通基本OSの底深くから言葉を発する人がまれにいる。「あ、この人深いな」という程度までは分かるのだが、私の意思疎通基本OSは浅いのでその相手と同じ深さで言葉を受け止めるのは難しいし、同じ深さで相手に言葉を返すこともできない。

 例えば芥川の『薮の中』を読んで感応するところが人によって異なるのはこういう事情なのである。学校教育で磨くことがほんの少しできるとしても、残念なことにほんの少しなのである。この溝をすっかり埋める方法はないと私はあきらめているが、溝に橋を架ける方法はある。深い人が相手の浅さに合わせるのである。浅いところにいる人は自分の浅さに気がつかないけれど、深いところにいる人は気づく。したがって、深いところにいる人が相手に合わせて調整するのである。

 浅瀬で阿波踊りをやっているような私には深い人から積極的に橋を架けてもらわないと話が通じない。というわけでヨロシクねー。って誰に向かって言っているんだ?