勧めてくれる人がいて読んだ瀬戸内寂聴さん『夏の終り』(新潮文庫)。

 寂聴さんが自分にへばりついた罪に向き合うてのたうち回っている様子が垣間見えた。凄まじい。書いても書いても収まらない。寂聴さんのこころの中で修羅が暴れ続ける。岩に爪立てて爪剥いで、首絞めて顔真っ赤にして反吐履いて、岩の上をごろんごろん転がってあちらこちらから血が噴き出ている。血を拭おうとしたところからまた噴き出している。

 私がひれ伏す車谷長吉さんと寂聴さんの似ているところとして「乱調」を挙げたのは両方を読んでいる舞台俳優だった。ああ、確かに。そこに美がある。