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 徳島が生んだ写真家・立木義浩さんの写真展はおびただしい写真を見ることができる。その中で「あー! うまい!」と感嘆した写真が2点あった。1つは開高健さんがいたずら小僧のような顔で写っている写真で、確か本人が大のお気に入りと書いていたような。そうか、立木さんが撮ったのか。

 もう1つは瀬戸内寂聴さんの写真である。寂聴さんの写真は5点。引き延ばされた写真が真ん中にある。寂聴さんが焦点を定めたような定めていないような目で何かを見つめているようないないような、そういう顔をしている。寂聴さんは笑顔のおばあちゃんという印象が一般的だが、実はこの昏さが寂聴さんだと私は思う。ずっと抱えて藻掻いて藻掻いてしてきた修羅をじっと見つめて自分を切り刻む顔である。

 ほかのも有名人の写真が数多く展示されていて、有名人というだけで写真の価値に下駄を履かせてもらったようなものだからそこは評価の対象にしないが、開高健さんと瀬戸内寂聴さんの2点だけは見た甲斐があった。