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 車谷長吉さんの直木賞受賞作『赤目四十八瀧心中未遂』を私は恐らく100回以上目を通していて、映画を恐る恐る見た。ひとことで言えば駄作である。

 この小説につきまとう不気味な通奏低音を、人形と暮らす老夫婦に仮託したのは名案だと思う。しかし、この仕掛け以外はすべて期待を大きく下回った。映画にも文学にも詳しく批評能力の高い友人に聞いたが同じ感想だったので私は自信を持って言う。駄作である。もう少し具体的に言えば中途半端。谷崎の『卍』の映画も冒頭数分で欠伸が出たが、そもそも名作を映画化するのは無理があるのだ。

 俳優も無理があった。アヤちゃんはぞっとする美しさを持つ女優が演じなければならないのに脱ぎっぷりのいい寺島しのぶを持ってきた。壇蜜か亡き夏目雅子か、背筋が寒くなるくらいの美しさを持つ女優でなければ務まらないのがアヤちゃんなのに。

 主役の生島を演じた男優はハンサムすぎて合わない。トレンディードラマ向きなのになんで? セイ子ねえさん演じた大楠道代を私は買うが、大阪弁が下手だと友人は言う。この友人は「なぜ大阪の俳優を使わないのか」と言っていて、思わず納得した。眉さんが内田裕也というのも、その意気は買うが大きな溝を感じた。内田裕也は線が細すぎる。

 小説ではドキドキする場面(電話ボックスに5万円取りに行く場面と拳銃を事務所に持っていく場面)を映画ではあっさり描いてしまい、あーあと言うほかない。

 この映画はいろいろな賞を与えられた。例えば、第58回毎日映画コンクールは日本映画大賞、女優主演賞(寺島しのぶ)、女優助演賞(大楠道代)、撮影賞(笠松則通)、スポニチグランプリ新人賞(大西滝次郎)だって。

 きみたち原作読んでないな。