ヤクオフに車谷長吉さんの色紙が出品されていた。最低入札価格は5000円。出品者の落札希望価格は4万5000円。

 説明に「本のサインはあるけれど色紙は見たことがない」と書いてあるが、それは違う。車谷長吉さんの色紙は3万円くらいで古書店で売られている。4万5000円はさすがに暴利のトンチキ野郎である。

 というわけで、私がまず入札した。5000円。誰も気づかなければこの価格で私が落札できるわけで、大変安い買い物になる。

 しかしオークション最終日に見たら、5700円になっていた。私の他に2人が入札したようだ。

 車谷長吉さんの色紙をこんなに安い価格で終わらせるわけにはいかない。タイムリミットの15分前、私は入札した。6000円7000円8000円と入札するが、私が最高価格にならない。車谷長吉さんの色紙は2万円でも安いので、入札価格を上げてゆく。

 1万5000円で私がトップに。しかしすぐに追い抜かれた。おお、来たな。安い落札価格になることを好まない出品者が釣り上げている可能性がないではない。そのウタガイを抱きつつも、車谷長吉ファンの私は落札価格を少しでも上げることにした。

 車谷長吉さんの色紙を不当に安い価格で私以外の人間に落札されるのは許せない。ワシは性格悪いノダ。

 2万円。2万1000円。2万2000円……。2万6000円。2万7000円。この辺りから私は慎重になった。競争相手の入札価格を上回るのはいいが、そのあと競争相手が私を上回る入札をしなければ、私が買わなければならない(笑い)。

 2万8000円。競争相手の入札価格のほうが上らしい。2万9000円。これでも相手が上。恐る恐る3万円入札する。相手が上。ほっとする。

 3万1000円の入札はやめた。私の猛攻で車谷長吉さんの色紙は3万円にまで価格が上がり、これなら妥当な価格だ。落札者がどう感じたか知らないが、車谷長吉さんの市場価格を守ったワシはマンゾクである。やっぱり性格悪いな。