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 北條民雄が日本占領下の京城で生まれ、その後徳島県阿南市下大野町で育ったとは。私は徳島生まれなのに迂闊にも知らなかった。というわけで慌てて『いのちの初夜』をアマゾンの青空文庫で買った。昭和の最後2年を沖縄で暮らしていたとき伊波敏男さんの『花に逢はん』などを読んだ際『いのちの初夜』を読んでいないわけがないのだが、全く記憶にない。というわけで、ここは潔く買うことにした。アマゾンの青空文庫はありがたい。

 一度聞いたら忘れられない峻烈な美しさを持つ『いのちの初夜』という題名は川端康成の命名だそうで、あの当時であるにもかかわらず川端康成は癩への偏見を持たなかったという。孤独な幼少期を過ごした川端は偏見のおぞましさと屈辱を知っていたのかもしれない。もちろん北條民雄の文学を高く評価したからこそだろうが。

 私は友人と話すとき川端康成を「康成」と呼び捨てにすることがあるけれど、北條民雄を「民雄」とは言えないなぁ。