池澤夏樹編集の世界文学全集の第2巻がマリオ・バルガス=リョサの『楽園への道』であり、読み終えて、ああそうかと池澤夏樹さんの編集の意図がびんびん伝わってきた。池澤夏樹さんもそういう人なのだな。

 女性と労働者の地位向上を求めて身を挺したフローラとその孫で絵を追究した破滅的なゴーギャン。塊として明確な形になっていない、雲のような霧のような、自分の内世界を突き蹴りする、圧縮されてゆく念に突き動かされてゆく二人の様子は鬼気に満ち、読者は気圧され、引きずり込まれてゆく。

 私が線を引いた4カ所を神奈川県の友人にメールで伝えたところ、激しく共感してくれた。そして『楽園への道』を読むという。使う単語や表現に多少の違いはあるけれど、漱石も車谷長吉さんも土門拳も、そしてリョサも同じ狂気を抱えている。感染力は強そうだ。

 500ページほどあるけれど、あっという間に読み終えたのは、フローラとゴーギャンに併走したからだろう。

 このあと私が読むのは第3巻『存在の耐えられない軽さ』の予定ではある。福島の友人が石牟礼道子さんを読み込んでいて、やり取りをすると私は歯が立たない。いちおう28巻『苦界浄土』を持っているけれどまだ読んでおらず、28巻だからざっくり計算すると読むのは10年以上先になる。というわけで、急遽28巻『苦界浄土』だな。