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 テレビニュースを見て「あー」と声が出た。福島県警ヘリが畑に転がっている映像である。30年前に福島にいたころ上空でよく見かけた県警ヘリの後継機だろうが、あのヘリも確か「あづま」だった。

 民放は「墜落」と報じた。そのあとのNHKの昼のニュースも確か「墜落」としたが、そのあとのニュースでは「不時着」と報じた。『毎日新聞』夕刊(東京本社版)4版は「墜落」とし、翌日の朝刊は「不時着」と書いた。

『広辞苑』第7版によると、墜落は《高い所からおちること。「飛行機が―する」》。不時着は《航空機が、飛行中故障または燃料の欠乏などのため航続不能となり、予定しない時、予定しない地点に降りること。不時着陸》というのが語釈だ。

『新明解』第5版は、墜落を《航空機や高所に居た人などが、バランスを失って空中を落下すること。[――事故]》、不時着を《航空機が、故障その他の事故により、初めに予定した以外の地点や時刻に着陸すること》と語釈をした。

 どちらの辞書も「墜落」は物理的な落下とし、「不時着」は理由と結果の因果関係まで言及している。しかし、どれだけ読んでも具体的な違いが分からないし、実際航空機事故の場合は例えば「日航ジャンボ機墜落」などと「墜落」を用いてきた。

 手持ちの共同通信の『記者ハンドブック』第13版には単語すら載っていない。書き分けを前提とした単語ではないか、誰も考えたことがなかったか。私は後者だと思う(笑い)。

 ここで敢えて2つの単語の差異を現実から探すと、「不時着」には生存者がいる場合を指すのではないかという感じがする。いや、そうなるいと「日航ジャンボ機墜落」だって4人の生存者がいたから、生存者で線引きするわけにはいかない。

 あらためて新聞の写真をよく見る。機体は散り散りになってはいない。ローターは折れているけれど、ヘリの原型をとどめていると言っていいだろう。とすれば、「墜落」と「不時着」の分水嶺は機体の状態か。

 今後の『広辞苑』に期待しよう。