イサヤマさんがフェイスブックで挙げていたのでさっそく読んでみたのがこれ。森博嗣先生の小説は理系向きのようなので私は避けているのだが、随筆は面白い。この本の題名も森さんのへそ曲がり具合がよく出ていて好ましい。どうやら天邪鬼な人が共感するようだ。ということはイサヤマさんは。あ、いやいや。何が「いやいや」だ。

 さて。20億円を超える印税を得た先生の随筆なので、そういう見方で読まないといけない。私のような貧乏人が読んでもさっぱり役に立たないかというと意外にそうではないのは、《僕の母は、おもちゃは買ってくれなかったが、工作のための道具ならば、ほぼ無条件で欲しいものを買ってくれた。また、本も無条件に買えた》(109ページ)といった記述が嬉しいからである。しかし、急いで付け加えれば森さんは最初から頭がいい。そこを無視してしまうと大きな勘違いが生じる。

 この本だったと思うのだがページを折っていないのでこの本ではないかもしれない。でも森さんの随筆だったと思うのでここに書いておくのだが、死ぬ前に「もっと仕事をしておくべきだった」と思う人などいない、という記述があって、棺桶が見えてきた私としては大いに頷いた。私なら「もっと本を読んでおくべきだった」か。若いうちは見えないものが年齢とともに見えてくるし、考え方も変わってくる。