今さら読書論でもあるまいと思ったが、ほかならぬ森博嗣さんの随筆である。結果、読んでよかった。読み方だけではなく書き方まで指南しているのだ。親切だなぁ。

 森先生は頭の切れる人なので、《僕は映像的な展開をする》(153ページ)。言葉ではなく映像的なものが広がるというのだ。

 私が反省したのは読み方である。最近は本を選んで買っているので「これは駄本だ」と蔑むことはさすがにないけれど、森先生は私にこう窘(たしな)める。《その場で評価を決めてしまうのではなく、すべて保留しておく。それが教養というものである、と僕は認識している》=87ページ

 共感するには《その本を手に入れるために、自分の金を出す》=83ページ。私は貧乏人なので服装などはどうでもよく、しかし本だけはお金をかける。新刊本があるのに古本を買うというケチなことはしない。それは自分の頭に対する冒涜だと思っているからだ。私が本にお金を出さなくなったら、ああカウントダウンが始まったなと覚悟するだろうなぁ。読書の価値は私の命と同じなのかもしれないな。

 森さんの随筆は手軽に読むことができる割に得るものが大きい。