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 漫画評を読んだ直後にアマゾンで買ったのは私が女性同士の恋愛に興味があるからではなく12月6日付『毎日新聞』(東京本社版)文化面に載ったこの漫画のヒトコマのセリフ《だれかに傷つけられるんじゃなくて どう傷つくかを自分で決めたい》に文学を垣間見たからだろう。この漫画を勧める評者は漫画家のいしかわじゅんさんである。

 上下巻の物語で、話が今から始まり遡ってゆく。謎解きのようなかっこうだ。そして最後にまた今に戻る。LGBTという単語が広く知られる現代だがこのような切ない人生がほんの少し前まで普通にあったであろうことを十分に想像させる。

 人間が自分の生き方を貫くことの難しさや別れ、老い、死。抗えない流れの中で人はどう生きるのか。正解のない中でふたりは自分に愚直だった。下巻を読み終えたら上巻に戻って読み直すとより深く理解できるはず。時系列が逆なので読み直しは必要だ。女性同士の物語だが、男性同士あるいは男女の物語に置き換えることは十分できる。

 須藤佑実さんはウィキペディアに載っていない。2012年に『ニライカナイ』という作品で小学館新人コミック大賞の青年部門で入選した漫画家で、ほかにも独特の作品を出版しているようだが、須藤佑実さんに関する情報がほとんどない。そこも興味深い。