かの子と言っても知らない人が多いはずで、それではと「岡本太郎の母親」と説明しても「令和の運び屋の母親?」と首を傾げる人が多いのではないか(「令和の運び屋」は河野太郎)。時代は流れる。

 岡本かの子の常軌を逸した生き方とそれを無条件で包み込む夫一平。こんな夫婦を“源流”とする岡本太郎のたたずまいに納得した。

 懊悩を抱えながら一瞬一瞬に閃光が走る生き方など腑抜けの私にはできるものではない。消えない炎は自分の魂さえ焼き尽くした。

 文庫の1刷は1971年である。600ページもある長編が今も版を重ねていることに驚く。