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 写真集『ノースウッズ―生命を与える大地―』が受賞した。大竹さんを全く存じ上げないが、おめでとうございます。敬意を表して写真集を買います。

 受賞を伝える3月19日付『毎日新聞』朝刊(東京本社版)の記事に驚いた。石川真生さんの写真展『大琉球絵巻2020』(那覇市民ギャラリー)が候補の1つだったのである。真生さんは私の『週刊金曜日』時代にたくさんの写真を載せてくれた。真生さんは人間そのものが破格で、付き合って楽しい人でもある。だから破格の写真を撮ることができたのではないか。

 芥川賞作家を3人も生んだ編集者・根本昌夫先生はかつて『毎日新聞』の取材に「小説は書き手の本質さらす」と語っている。これは写真にも言えるはずだ。「写真は写し手の本質さらす」のである。

 今回の受賞した大竹さんの「受賞のことば」を読むと、本当に苦労したことがよく分かる。難関の一橋大を出て就職せずに北米の森に通ったのは普通ではない。心身に不調をきたしたほど写真に懸命だったのも普通ではない。普通でないから素晴らしい写真を撮ることができ、土門拳賞につながった。

 真生さんも普通ではないのだが、「普通ではない」大きさが大竹さんが優ったということだろう。真生さんはがん闘病中なので、だからというわけでもないが、企画賞か何か贈ってほしいのだが。