私も森博嗣さんの小説は1冊も読んだことがないけれど、エッセイはほぼ読んできた。何となく考え方というのか波長というのか、そういうものが合うのである。「やっぱりそうだよな」と安心できるわけだ。

 とはいえ、本書はあくまでも森博嗣さんだから言える部分がある。どこか(外国?)で悠々自適の暮らしをしている、お金の苦労のない、健康不安もない、功成り銭貯めたポジションからのトークなのである。普通の生活をしている人や貧乏人の私の参考になるのかどうかというのは棚に上げて、私と全く同じ見解を森さんが書いていて、安心できたところがあった。

《どんなに目立つことをしても、あるいは、どんなに人から感謝されることをしても、それが仕事だったら、偉くもなんともない、と僕は感じます》

《それに応じた賃金が支払われているわけですから、そこで帳尻が合っている》

《もし、人に語れるようなことがしたいのなら、ボランティアとして奉仕活動をされるのが適切でしょう。見返りを求めない作業の方が、仕事よりは少し偉いといえます》