池澤夏樹さん個人編集の世界文学全集(河出書房新社)8巻は『アフリカの日々/やし酒飲み』である。
『アフリカの日々』はディネセンの経験を踏まえた作品だが、彼女の実人生を知ると、切なさというのか哀しみというのか呻きというのか、そういうものが通奏低音のように流れているように感じる。作者と作品は分けるべきなのだろうが、そこが不可分のところがこの作品にはあり、失意の人や破滅の人が好きな私の琴線に触れた。
端正な私には『やし酒飲み』ははちゃめちゃにしか見えないのだが、《アフリカ発世界文学の金字塔》ということだそうなので、そういう位置づけの作品なのである。確かにいわゆる「文明国」や「先進国」では生まれがたい作品であることは間違いない。人間の精神が自由であることができるのは、このような萌芽の時代なのかもしれない。
『アフリカの日々』はディネセンの経験を踏まえた作品だが、彼女の実人生を知ると、切なさというのか哀しみというのか呻きというのか、そういうものが通奏低音のように流れているように感じる。作者と作品は分けるべきなのだろうが、そこが不可分のところがこの作品にはあり、失意の人や破滅の人が好きな私の琴線に触れた。
端正な私には『やし酒飲み』ははちゃめちゃにしか見えないのだが、《アフリカ発世界文学の金字塔》ということだそうなので、そういう位置づけの作品なのである。確かにいわゆる「文明国」や「先進国」では生まれがたい作品であることは間違いない。人間の精神が自由であることができるのは、このような萌芽の時代なのかもしれない。