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 1カ月経っても、その本はまだあった。わが古里の瀬戸内寂聴さんの全集の第1巻である。東京・中野駅北口のブックファーストに1カ月経ってもあるのだった。アマゾンでは売り切れになっていて、諦めた本だ。

 寂聴さんが私の耳元でささやく。

「あんた、買いなさい」

 ほなけんど、ごっつい高いでぇだ。お金ないし。わし貧乏人よ。

「何のためにクレジットカード持っとんで」

 いや、ほれは。

「あんた、私の小説を読んどんだろ。しかも徳島生まれやないで。買わんでどないするん。もう第1巻はほとんど売りきれとんやけん。これもご縁じゃ」

 瀬戸内寂聴全集第1巻を持ってふらふらとレジに。

 本はできるだけアマゾンで買わず本屋で買う原則を立てたため、本屋を見つけたら入ることにしている。ありがたいのか迷惑なのか、東京には本屋が多い(笑い)。そこで見つけてしまったのがこの本なのである。

 本屋に行くと読みたい本がいろいろ目に入って楽しいし、こういう出会いがある。これはアマゾンでは味わえない。しかしアマゾンだけ見ていればこのような衝動買いはない。