
寂聴さんが私の耳元でささやく。
「あんた、買いなさい」
ほなけんど、ごっつい高いでぇだ。お金ないし。わし貧乏人よ。
「何のためにクレジットカード持っとんで」
いや、ほれは。
「あんた、私の小説を読んどんだろ。しかも徳島生まれやないで。買わんでどないするん。もう第1巻はほとんど売りきれとんやけん。これもご縁じゃ」
瀬戸内寂聴全集第1巻を持ってふらふらとレジに。
本はできるだけアマゾンで買わず本屋で買う原則を立てたため、本屋を見つけたら入ることにしている。ありがたいのか迷惑なのか、東京には本屋が多い(笑い)。そこで見つけてしまったのがこの本なのである。
本屋に行くと読みたい本がいろいろ目に入って楽しいし、こういう出会いがある。これはアマゾンでは味わえない。しかしアマゾンだけ見ていればこのような衝動買いはない。