石原慎太郎さんの死亡報道のあと、元『新潮』編集長・坂本忠雄さんの死亡記事が新聞に載った。坂本さんが石原さんより数日早く亡くなっていたが、相次いで亡くなったことに何かの縁(えにし)を感じてしまう。
本書は坂本さんが聞き手になって石原さんの文壇交遊を回想したもので、かなり刺激的な内容だ。「それを明かしていいのか!」とのけ反る暴露もあり、帯の惹句《驚きの逸話が満載!》のとおりだった。
石原さんは論争好きだったということがよく分かった。都知事時代に記者会見で毎日新聞の記者をやり込めている映像をユーチューブで見たことがあるけれど、毎日記者は反撃すればよかった。石原さんは毎日と朝日を嫌いだったが、筋の通った反撃なら「記者ならあれでいい」と石原さんは喜んだのではないか。
芥川賞選考でも論争のなさを石原さんは嫌った。