
車谷長吉さんの生家に通うようになり、通うと言っても前を往復するだけの、どう見ても不審者なのだが、それほど遠くないところにある喫茶店がここバークリーである。
4月に初めてマスターと言葉を交わし、車谷長吉さんの話をした。7月末、久しぶりに店を訪ねた(もちろんその前に車谷長吉さんの生家の前を往復済み)ところ、注文を取りに来たマスターが「えーっと、以前来てくださった……」と私を覚えていた。私はマスク姿なのに。
広島の名喫茶店てらにし珈琲のマスターも客といつも注文するメニューを覚えているスゴ腕で、顔と名前を覚えるのが、というよりそもそも記憶力の悪い私はただただ感嘆するしかない。お客さんを覚えるのは商売の基本である。と私がエラそうなことを言う資格は全くない。
バークリーに立ち寄るのは、車谷長吉さんの同級生に出会えるといいなぁというヨコシマな狙いがあるわけだが、今のところ実現していない。
外観のおしゃれな、なかなかいい店である。滅多に来ない客の顔を覚えているマスターも立派である。